ダンバーの言語起源論 

アメリカの現役の学者、ダンバーの、言語に関する論文"The Social Brain"を読む。

第一に、「共同体」中心に言語の発生というものを考えること。
第二に、言語の起源を「歌」に見出すこと。
この二点でルソーの言語起源論に近い。
ダンバーはルソーのものより、もっと生物学的に、もっと文化人類学的に、人間における言葉の始まりにアプローチしている。




ダンバーは、人類における言語とは、チンパンジーやオランウータンやニホンザルにおける、グルーミングに当たる動作なのだと推測している。

この論では、人間及び類人猿の「脳」の、観察と検討から組み立てられている。
「脳」は生物において、そもそも、どんな働きをしているのか。
霊長類において、ある類の持つ大脳新皮質量容量と、その類における、グループサイズは比例的関係にある。
つまり、脳が大きければ大きいほど、その霊長類の集団は大きくなる。
そして、霊長類の大脳新皮質とは、対他的関係の演算処理に使う器官であるらしい。
複数の相手と同時に交流することは、難解な計算が必要である。
ある相手と交流するとき、その相手と、別の相手の関係をも考慮しなければ不備が生じる。
グループサイズが大きくなればなるほど、その関係性の網の目は複雑になる。

さらに、類人猿における対他的関係を維持するための動作として重要なのが、グルーミングである。
類人猿はグルーミングを複数の相手と行いあうことにより、グループとしての連合を作り出す。
そうなると、グループサイズが大きくなれば大きくなるほど、グルーミングへと裂かれるべき時間が多量になる。
食と生殖のために使う時間を除いて、対他的交流のための時間を増やしすぎることは、種を存続する上での限界が生ずる。
グループサイズが大きくなればなるほど多くの脳容量が必要になり、多くの対他的交流の時間が必要となる。

霊長類の脳容量とグループサイズの関係から逆算すると、人間の適正なグループサイズ数は、150人程度である。
ダンバーは、この150という数字を、現代人の振る舞いや、未開の部族のグループサイズの調査から、論証している。
人類におけるこの、他の霊長類と較べて驚異的な数である150というグループサイズを可能にしたのは、言語である。
人類は言語の力により、一度の言葉で複数の相手と交流をし、食べたり歩いたりしながら「グルーミング」もできるようになった。

古来の人類の祖先において、言葉は本来、内容を持たない歌のようなものであったと想像されるのだという。
つまり、言語とは、対他的関係を維持するための芸術のようなものであった。
そこから徐々に、社会的なものや文化的なものが生み出されていったのだとダンバーは論じている。

どこまで本当だかはよく分からぬが。
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