東浩紀、北田暁大『東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム』 

東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム
(2007/01)
東 浩紀、北田 暁大 他

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東 浩紀、北田 暁大『東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム』

Amazon.co.jp ランキング: 本で29,615位

とりあえず、各方面の街を歩き、その印象を話し合ってみました、というグダグダな企画東浩紀の論を中心に、本書の主張をみておく

一つには生命工学の観点から、一つには資本の運動から、郊外の風景は均一化していく
コンビニ、ファミレス、百円均一ショップといった文化資本の再配分装置が台頭する
その一方、一部の街は「差異」というものを売りにし、人を集めるための記号空間としての「テーマパーク」として商業化される
この二つの場から東京はなる
人々は、ファスト風土的・ジャスコ的な均質空間で、動物化された生を送る
たとえ経済的格差があったとしても、たとえニートであったとしても、結局はみな同じような「街」のなかで生きていくことになる
身体の領域が、環境管理型の権力により支配されていく
工学的管理の圏域としての住空間で、人の選択できるオリジナリティは減少する
動物性が、都市デザインと社会システムの根幹を決定している
ポストモダン社会の倫理においては、人間的多様性の圏域は、それとは別の場所に確保される
たとえば、Webの世界で、ヴァーチャルなキャラクターとしての個性を確保する、ということになる

『自由を考える―9・11以降の現代思想』(2003)では、フーコーの生権力が話題になっていた
それは批判すべきものとして語られていた
その議論の延長上で、『東京から考える』(2007)という書もなりたっている
ポストモダンにおける生権力が、具体的レベルにおいて、どんなふうに都市を変えていっているのかという話だ
でも、『自由を考える』とは異なり、『東京から考える』ではフーコーやアガンベンへの言及はまったくなされていない
バリアフリーやセキュリティといったことへの工学的な取り組みと、「安全」と抱き合わせになった「管理」というものへの評価が、必ずしも否定されていない
子を持つ父が、子育てするのに適した、安全な街を探すというのが、裏の主題にある
人間の「動物化」を肯定する東の発言もみえる
動物には、共感可能性がある、とのこと

『自由を考える』(Amazon.co.jp ランキング: 本で78,122位)より『東京から考える』(29,615位)の方が売れているのはやや意外
哲学的で観念的な考察に満ちた前者より、私的な体験に照らし合わせつつ街並みについての考察へと取り組む後者の方が、一般読者にはわかりやすかったのか

データを示して語ることがなく、統計的でなく、感想文っぽい
趣味的な話や、東京人でないと分からない物件への言及が多い
東京人でも、興味を持てるかギリギリなラインだろう
二人とも、さすがにいろんなことを知っているなと思うけれども

下北沢再開発について、否定はしない東と、問題視する北田
これらの点では二人の意見が分かれる
また、男性と女性というものは、明瞭に二分されるものなのか
生物学的性差は脱構築が可能なのか、脱構築不可能な外部なのか
生物学的なものが社会全体の設計を制約する、と
東は性差を脱構築不可能な外部、リベラリズムの外部と述べるが、この点も論議を呼ぶところだろう

○チェック
稲葉振一郎
渋谷望
ローティ『哲学の脱構築』
ロールズ
ソーカル『知の欺瞞』
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>『自由を考える』(Amazon.co.jp ランキング: 本で78,122位)より『東京から考える』(29,615位)の方が売れているのはやや意外

発売日が四年も違えば、新しい方の順位が上なのは当然でしょう。
[ 2007/09/27 07:15 ] 木棚 [ 編集 ]
私は誤解していたかもしれません
「Amazon.co.jp ランキング」というものは、通算で売れたもののランキングではないということなのでしょうかね
[ 2007/09/28 00:08 ] 松平耕一 [ 編集 ]
いま、売れている物ランキングで、割と数分でも変動します。
[ 2007/09/28 00:53 ] 木棚 [ 編集 ]
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