藤田正勝『西田幾多郎―生きることと哲学』 

西田幾多郎―生きることと哲学 西田幾多郎―生きることと哲学
藤田 正勝 (2007/03)
岩波書店
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西田哲学の入門書として、分かりやすい。
しかし、難解な哲学を扱った新書に往々にしてありがちな、簡単すぎる解説書ではない。
「岩波」らしい、重みのある題材。
「新書」らしく、初心者に向けて分かりやすく語るということ。
二つの矛盾した要請に、よく応えている。
哲学用語のちりばめられた難解な文体を採用しているわけではないが、そこに綴られた粘度のある思想に、重みを感じる。


西田の人生と、その思想との関わりについて。
「純粋経験」について。
「芸術」、「歴史」、「宗教」について。
存在に対立する「無」と、「場所」について。
西田哲学に対する社会の受容と、後続する学者の批判について。
西洋哲学に対するものとしての、西田哲学の位置付けについて。
「日本」に対し、外部の立ち位置からアプローチしようとした思想であるということについて。
西田思想のキーワードと、それに関連した事実や、それを取り巻く周囲の状況について、要領良くまとめてある。
著者の藤田正勝には、他に、『現代思想としての西田幾多郎』(講談社選書メチエ)や『日本近代思想を学ぶ人のために』(編著、世界思想社)などの仕事もある。
この手の仕事には手馴れているのだろう。
難解な日本思想の、エッセンスの劣化を最小限に留めて、やさしく語ることに長けている。
本書、『西田幾多郎―生きることと哲学』では特に、西田の人間性がどのようなものであったか、そのエピソードを適度に語る。
西田の抱いていた悲哀と、西田哲学との関わりを味わうことで、西田の思想に親しみやすくなる。
二度繰り返して読みたくなる。

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日本近代思想を学ぶ人のために 日本近代思想を学ぶ人のために
藤田 正勝 (1997/07)
世界思想社
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現代思想としての西田幾多郎 現代思想としての西田幾多郎
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講談社
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