東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2』 

ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2
(2007/03/16)
東 浩紀

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東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2』

☆美少女ゲームは世界最高の文芸作品である!

ギャルゲーの女たちはしゃべり方がおかしい
会話文の文末が「ですのよ」「ですわ」「なのです」
さらに、「みー」「にぱー」
などといった感嘆詞も入る
かわいさアピール?
なんのうめき声だよ!
これらの言葉づかいはライトノベルや少女漫画などでも見られる
なんでこんなおかしなしゃべり方をするか
会話文が続くと、誰が何を発言したのか、読み手は混乱する
多人数で会話をするときに、誰が何をしゃべっているのか見分けるための技法である
こういう口癖を持つか持たないか
「キャラクター小説」と「純文学」の分水嶺は、一つにはここにあるのである

登場人物



ぴよ彦
ピカチュウ

台本

犬:~~~~~~ワン
猫:~~~~~~~~~~~ニャン
ぴよ彦:=======ピヨ
ピカチュウ:ぴかぴか ぴかあ

つまりはこんな感じだ
ある人物と別の人物には、「差異」がある
実生活においてある他人と別の他人を見分ける場合
視覚や聴覚等、様々な情報が駆使されて、人と人との違いが体感されることになる
しかし、文芸の世界では、現実世界ほど簡単ではない
多様な人物を書き分けること、読み分けることは困難である
文字情報のみで、人物どうしの差異を表現するのはとても大変である
結果として、以下のような小説が一般に多くなる

・登場人物が少ない
・登場人物の書き分けができていない
・ヒロインが一人か、多くても二人である

しかし、「キャラクター小説」では「しゃべり方」を変えることで、多人数のヒロインが登場可能になった
しゃべり方の差異で、多数のヒロインを現出させる
それは、人物を「記号」的、「数学」的に処理し、濃縮させる作業の結果による
もちろん、「ですのよ」「ですわ」「なのです」などとしゃべる女はいない
実際に、現実にそのまま対応する人物が、存在するわけではない
ある人物と別の人物の対照性に注目することで、記号的に人物を分類させていく視点がキャラクター小説の根底にはある
この仮想世界には、入り込める人、入りこめない人の差異が、大きくなる
ゲーム的なリアリズムの世界に入り込むためには、特殊なリテラシーを習熟する必要がある
一度そのリテラシーを学んでしまえば、大きな快をその世界は与える
無駄な、不透明な夾雑物をそぎ落とした「キャラクター小説」は、現実世界に対応した、もう一つの仮想世界として、完結性を持ちうる
言語が差異の体系であるごとく、キャラクターも差異の体系なのだ
人は任意のキャラクターに恋をすることができる
多人数のヒロインを魅力的に描く
そのような作業は、世界文芸史における、日本独自の達成である
かつての文学がなしたことがない、新たなリアリズムの世界を仮構した
それが、現代日本のキャラクター小説であり、美少女ゲームなのだ!

といった議論を東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』に期待したのだが、ほとんどまったく関係がなかった
がっかり

■■■

東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』

Amazon.co.jp ランキング: 本で2,025位

・「ライトノベル」という言葉で指しているものが、狭くはないか
・「ポストモダン」の定義がテキトー
・ライトノベルでは、キャラクターが物語に優位するという指摘は正しい
・「ポストモダニズムの小説」は、トーマス・ピンチョン、ドナルド・バーセルミ、ジョン・バース、ポール・オースター、スティーブ・エリクソン、筒井康隆、高橋源一郎、島田雅彦
一方、「ポストモダンの小説」はライトノベル等であるとのこと
・私小説における「私」の代りに、「キャラクター」が存在するのがまんが・アニメ的リアリズムとのこと(大塚英志『キャラクター小説の作り方』)
・私小説とは「私」への批判的考察を失った所に成立している
そんなんじゃ駄目だ
というのが、柄谷の『近代日本文学の起源』ではなかったか?
女とは何か
女というものへの批判的考察を失ったところに「美少女ゲーム」「キャラクター小説」は存在していないか?
東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』に欠けているのは、性差というものへの学問的考察であろう
「女」の起源を不問にすることで成立している
そこがとてもまずい
・「大きな物語」に対応する、ポストモダンの特徴たる「大きな非物語」とは、「ロードス島戦記」に触発されたアイディアのよう
・「ゲーム的リアリズム」という言葉で指している対象がほとんど理解できない
・「実存」という言葉が使われているが、展開不足
・ライトノベルを日本文学の中心に位置付ける試み

○チェック
新城カズマ『ライトノベル超入門』
稲葉振一郎『モダンのクールダウン』
伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド』
『美少女ゲームの臨界点』
舞城王太郎『九十九十九』
清涼院流水『コズミック』『カーニバル』
ササキバラ・ゴウ『〈美少女〉の現代史』
笠井潔『探偵小説と記号的人物』
桜坂洋『All You Need Is Kill』
中俣暁生
宮台真司
『庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン』
宇野常寛
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