川上未映子「わたしは撒かれるのを待ってます。」 

Web連載小説
http://www.soeisya.co.jp/

超短編
横光利一の「春は馬車に乗って」に寄せた作品だという
抽象的な言葉の多用される一文の長い話体からなる川上節

「春は馬車に乗って」は、横光の作品のなかでは私小説的なモチーフの強い作品である
肺結核で死んでしまう奥さんを横光が看病するお話
名作だとしばしば言われる
奥さんが鳥の臓物を食べたがる場面など、印象的
新感覚派らしいトリッキーなレトリックもあちこちに見られる
横光の、繊細で純粋な奥さんへの愛が描かれているが、よく読むとグロテスクなところもある

川上の「わたしは撒かれるのを待ってます。」は、死んだのちの奥さんが語り手のよう
冒頭、「家を買えるんやったらもう一度、買いましょう」と始まる
主要なテーマが「家」であるみたい
どうして「家」なのか
「恋」ではなく、結婚したのちの夫婦愛
死にゆく病床の妻との愛が「春は馬車に乗って」で語られている
それで、「家」に属する愛なのか

しかし、「春は馬車に乗って」の旦那って、そこまで信じられる人物かな
「春は馬車に乗って」の妻は、旦那に対して不信があり、おびえているところがありそう
奥さんは金銭的にも、弱者である
「わたしは撒かれるのを待ってます。」の「家を買えるんやったらもう一度、買いましょう」という大胆な、女性の言葉
女性が強い立場を持ち、経済力を有していないと無理
それで、かなりインパクトがあるセリフだ
死んだのちの言葉であるなら、かなり腹が座っている
なので、どうも二作の間には距離を感じた
意図的な、確信的な読み換えなのでしょうか
弱い女性を描く横光と、強い女性を描く川上
時代の差が明瞭に現出している

川上の文章って、くどくて、ちょっと疲れることがあるけれども
これについてはWebで読むのに、短いのでストレスがたまらない感じ
挿絵がおしゃれでバランスがいい
いい企画であると思う
日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (岩波文庫 緑 75-1)日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (岩波文庫 緑 75-1)
(1981/08)
横光 利一

商品詳細を見る
スポンサーサイト

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

松平耕一

Author:松平耕一
○twitter登録名:matudaira
○ツイッターまとめ:http://twilog.org/matudaira
○Facebook登録名:松平耕一

☆文芸空間社企画
◎批評放送
・批評放送は松平のプロデュースする動画配信企画です。ツイキャス http://twitcasting.tv/matudaira 、youtubeなどで配信されます
批評放送@USTREAM

○松平耕一・文芸空間社・批評放送へのカンパ振り込み先は
・三菱東京UFJ銀行の吉祥寺支店普通口座1896022 マツダイラ コウイチ 宛になります

管理者ページ

FC2カウンター
ツイッター@matudaira
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
全記事(数)表示
全タイトルを表示
カテゴリー


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。