すが秀実、花咲 政之輔 他『ネオリベ化する公共圏』 

ネオリベ化する公共圏―壊滅する大学・市民社会からの自律ネオリベ化する公共圏―壊滅する大学・市民社会からの自律
(2006/04)
すが 秀実、花咲 政之輔 他

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早稲田の学生運動は、今まさに、当局の手によって潰されようとしている
学生運動なき大学は、大学といえるのか
けしからん
もはや大学は終わりなんじゃないのか
学生運動あってこその市民社会ではないのか
という書物

このテーマで本が出せちゃう人って、日本ではもうすがさんだけなんじゃないかしら
他にもいるのでしょうか
よく知りませんけれども
何部くらい売れたのでしょう

ぼくは、子供のころから左翼の問題に興味があった
左翼運動に関心があり、周囲をうろちょろしていた
左翼と右翼
善と悪についてぼんやりと考えたり観察したりしていた

大学時代は、法政の学生会館の問題に少々コミットした
そのとき、すがさんのことを知って
未だに学生運動について、真剣に取り組んでいらっしゃる知識人がいるのだな
すげえな
と思っていたのだけれども

共産党のおじさんとか
中核派のおじさんとか
ぼくには、どうにも人間的魅力を感じなかった
世界の平和を叫ぶ
「善」と正義を探究し、その道へと邁進することは分かる
しかし、美的感受性が欠落しているように見えた
論理的真への考察も甘いし

法政の学生会館が潰れるころの運動の内実は、「悲惨」の一言であった
他に言うべき言葉をもたない

企業に対する労働運動は必要だろう
NOといえる労働者となること
それがなければ、「人間」であることを「人間」は忘れてしまう

国家に対する運動も必要だろう
よりよい社会を作るため
見落とされていることの全体を改良していくための運動も、なくてはならないだろう

現在の学生運動の歴史的な位置を知れる点で、本書は大変参考になる

ただ、当局による自治会解体が嘆かれているけれども
学生の側の問題も大きいことが、取り上げられていない
法政の自治会なんか、ひどいありさまだったし
現在の社会は、学生運動を盛り上げていく空気じゃない
それはどうしてなのか

共産党、中核派、革マル派なりとセットでしか、学生運動が行われえないのか
怪しいおじさんに「はいはい」従うしかないのか
そのとき、「私」にとって「私」とは何なのか
クリアしなきゃいけない問題は、そこらあたりにある気がする
美的じゃないと、誰もついて来ないわけで
「美」こそが人を狂わす、魔
人は「美」のために喜んで搾取される

○内容
具体的な話から抽象的な議論まで
よくこれだけ多彩な論を集めるな
すごいお手並みですね

○すがんさん
・学生自治会は、大学という市民社会のなかの有機的な構成要素の一分枝として、市民的権利をめぐる闘争を遂行していた
・戦後日本の自治会運動と組合運動は並行的に捉えられるべきである
・資本主義との相互補完的な市民的闘争(規律/訓練)を通じてのみ、良き市民が生み出される
・大学は市民社会のなかに正当に位置づけられていた公共空間であった
・大学は、60年代に、良き労働者・市民へと規律・訓練する「就職予備校」としての役割を放棄しはじめた
・現在の大学の問題は、大学が「学問の府」から「就職予備校」になったことにはない。「就職予備校」でさえなくなったところにある
・大学=市民社会における自治性の崩壊=ネオリベ化
・自治性の復権=リベラリズム
・しかし、大学の教員には、市場原理の貫徹がきちんとなされていない
・昔は、学生サークルに担われていた課題が、アカデミズムのカリキュラムに吸収された=フェミニズム、ポストコロニアリズム、現代思想、文学、クリエイティヴライティング、音楽、美術、演劇、サブカルチャー、広告、イヴェントのマネージメント、IT技術

○池田雄一
・デリダの脱構築は、カントのアンチノミー
・PC派の問題。「資本主義についてか、性差のついてか、国家についてか。どのトピックがヘゲモニーをにぎるかについて、まさにホッブス的な闘争状態が展開される」

○マイケル・ハート
・現代社会はポスト市民社会
・ホッブスからルソーまで=自然状態/市民社会の二分法
・ヘーゲル=自然状態→(教育)→市民社会/政治社会(国家)
具体的労働から抽象的労働へのプロセスは、個別なものが、否定あるいは自己棄却によって普遍へと変容される教育的プロセスである
労働組合もその他の市民社会の制度も、市民を教育し、国家と調和する普遍的欲望をつくりだすものである
国家は結果ではなく、始まりである
・グラムシ=市民社会の社会的弁証法を、より民主主義的な形で提示した
市民社会と政治社会の優先順位を逆転させた
・フーコー=市民社会と政治社会の分析的区分は不可能とした
権力に外部は存在しない
権力は、社会領域の諸要素の調整や秩序立てによってのみではなく、欲望、要求、個人、アイデンティティを生産することによって作用する
国家は超越的ではなく内在的な原因であり、社会生産のさまざまな経路、制度、囲い込みに内在する国家管理である
・グラムシとフーコーは、ヘーゲルの市民社会の対照的な二面に光を当てた
・国家ではなく、市民社会が衰退しかけている


・自治会費の代理徴収をどう評価する?
・大学はパブリック・フォーラム?
・大学院は毎年大量の失業者を生産する

○チェック
グラムシ
フーコー
アラン・ブルーム『アメリカン・マインドの終焉』
リースマン『高等教育論』
喜多村和之『大学淘汰の時代』
ペーター・スローターダイク『シニカル理性批判』
『性の署名』
『ネオリベ現代生活批判序説』
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