すが秀実、渡部直己『新・それでも作家になりたい人のためのブックガイド』 

新・それでも作家になりたい人のためのブックガイド新・それでも作家になりたい人のためのブックガイド
(2004/10)
スガ 秀実、渡部 直己 他

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○感想
毒舌に満ちたとてもいい本
お二方とも、本当に文学がお好きなのですねーと思ってしまいます

自分は、文学のディシプリンを受けていないので、難しいことは分かりませんけれども
大学の先生は、技術と描写にむちゃくちゃこだわるけれども、それを真に受ける学生もあまりいないでしょう

文学におけるディシプリンの崩壊はどのように評価すべきなのか
まずいことなのか

それが、労働者におけるディシプリンの崩壊と、結びつくと言えるのか
データで示すとすると、どうなるのか

Webにおける「私語り」は、しちゃいけないとか、していいとか、そういう次元を超えていそうです
なので、そういうことを批判するのも時代錯誤なのじゃないかと

Webにおける表現というものが、どんな方向へ向っていくのか、観察・分析するのも一つ、重要な仕事じゃないかと

○内容
・ディシプリンを旨とする市民社会がグローバリゼーションとともに衰退した結果、教育も変わった
・「ゆとり教育」はディシプリンを放棄し、コントロール型社会への移行へと変わる意味を持つ
(・告白が「内面」をつくったという、『性の歴史』は、本来は、精神分析学批判であり、日本へと簡単に適用できるものじゃないのじゃないか?)
・中年女性、高村薫、宮部みゆき、桐野夏生、岩井志麻子にはディシプリンがある
・ロシア・フォルマリストふうにいえば、「形式が内容を決定する」という命題がエンタメに生き延びている
・純文学は形式的な面での拘束がないためむしろ不利
・文学をとおして何かがわかるのではなく、わかっているはずのものが文学を通してわからなくなるのが、二〇世紀文学の精髄である
・ディシプリンを受けた学閥出身の作家が、純文学を書く時代があった
・『バトル・ロワイヤル』は、無意味な暴力が肯定されていて、「俗情との結託」である・大塚は公共圏の回復を訴えている。しかし、もう公共圏は回復できない
・メフィスト系の小説は、日本の内輪だけで通じる自閉的な世界である(→?)
・メフィスト系の小説は、暴力性とナイーヴな心理描写でもって、九〇年代半ば以降に「何も起きない日常」を書く作家の増えた「純文学」に対し、一定の破壊力を持ったが、内輪受け的でもある
・神の視点を捨てることから始まった近代小説だが、最近再び神が復活し始めている
・そして誰も描写しなくなった
・小川洋子はフェティシズム的
・村上春樹「そんなわけで、彼女の死を知らされた時、僕は6922本めの煙草を吸っていた」……Aの位置にある宿命的な重さと、日常的な小間物の軽さ。Aをひきたてるために、それとは対蹠的な性格をおびた細部Bを配する手法
・エンタメ系小説は年寄りが、純文学・ラノベは子供が読む
・年寄りは中間小説系、「小説新潮」「別冊文芸春秋」を目指すべし
・「ファウスト」……編集長太田克文ひとりの編集部。文芸誌として一番売れていて3万部
・文学的にめぼしいのは、柳美里と桐野夏生ぐらい
・シクロフスキー「手法としての芸術」。そもそも、近代以前に「語り」だったものを文字で書く段になって描写が介入してきたわけだから、描写は近代小説の唯一の特質でもあった
・「神のようにすべてを知りなどしない近代小説の話者は、要するに「市民」だったんですよ。しかし「市民」という概念こそが虚構だった、というのがいまの流れでしょう。ディシプリン型社会のフィクションが崩壊しちゃってる」
・渡辺直己『リアリズムの構造』、ロラン・バルト『零度のエクリチュール』
・最近の純文学系の編集者は何を考えているのか分からない
・ポストモダンは革命後の社会である。皆動物になって、革命の記憶をなくしてしまった
・コントロール型の社会では、むしろ「中世的なもの」が回帰している
・二次創作物は、中世の偽史・偽書的なものと近い(→?)
・60年代末までは、大学を頂点としたディシプリンの体系が生きていた
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えぇっ?? 柳美里についてはめちゃくちゃ叩いてるようにしか読めないんですが……
[ 2010/08/08 23:41 ] 名無しさん@ニュース2ちゃん [ 編集 ]
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