杉田敦『境界線の政治学』 

境界線の政治学境界線の政治学
(2005/02)
杉田 敦

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○2005年刊行、著者46歳時の作品
法政大学法学部教授
ちょっとマルクス主義入っている政治学
読書ノート的
ジジェクを導入している個所はうさんくさい
フェミニズム系、PC系の文学研究者たちは、この本くらいは理解しましょう

○内容
・古代ギリシャにおいて、政治概念は公的な領域(ポリス)、経済は私的な領域(オイコス……イエ)に属し、二つは境界によって隔てられていると考えられた
・しかし、現代のフェミニズムが明らかにしたように、特定の領域を非政治的として政治の外部に追い出してしまうことは、実は最も政治的な意味を持つ
・キリスト教の成立以後、宗教でないものが政治だという考え方が力を持つようになった。教会が精神を、国家が身体を担当する、という考え方である
・境界線の内部だけが世界であり、その外は世界でないという考え方を人々は取りがちであり、シュミットはこれを掘り下げた
・自由主義は個人によるもの、結社によるもの、国家を超えたレベルから国家に対抗するもの、に分けられる
・自由主義は、宗教に対抗するものとして出発した。そして、国家に関わる公領域から、個人の内面という私的領域を守ることへと発展した

・丸山眞男「個人析出のさまざまなパターン」
・日本は結社の形成性が英米に比べて弱い
48・マイノリティのアイデンティティが、生物学的な等質性や文化的な同質性にもとづいて過度に厳密に定義される場合には、国民という単位におけるのと同様に、内部を全体化する圧力が、マイノリティの内部ではたらくことになる(→多文化主義内部のマイノリティにおける専制的全体主義化が生じる)
・友と敵の分離において、「政治」が発生する

77-8・「実はフーコーも、身体とセクシュアリテとの関係については、バトラーより両義的な言い方をしています。つまり、完全に権力の所産とは言わず、身体的な基礎もいくらかあるようなことを言っているのです」

・「……グラムシは経済決定論を根本的に見なおし、下部構造が上部構造を規定するのではなく、むしろ上部構造が下部構造を規定するとした。しかも、上部構造について考えるにあたっても、政治社会は「強制の鎧をつけたヘゲモニー」であるとした上で、「強制の鎧」たる軍事的・警察的な権力ではなく、文化的な主導権としての「ヘゲモニー」こそが、全体の帰趨を決するものとしたのである」
鎧……政治社会、国家
ヘゲモニー……市民社会

・ヘーゲル……1政治2文化3経済の順に規定する
マルクス……1経済2政治3文化
グラムシ……1文化2政治3経済

・Laclau,Emancipation(s)
96ー7・「現実というものはもともと切れ目なくつながっているが、それが切り取られて特定のシニフィアンと結び付けられた時に、まるでもともと一つのまとまりであったかに見えるようになる」「シニフィアン一つひとつの「意味」は、その言語システム内での、他のシニフィアンとの「差異」以外の何物でもない」「……ラクロウは、社会は本来切れ目のない一つの連続体であり、それを何らかのまとまりに分けるのはシニフィアンにかかわる作用、すなわち政治理論の作用によるものとする。人間は不平等などを経験しても、ただちに何らかの政治的なアイデンティティを持つわけではない。そうした不平等などが「抑圧」といった政治的な問題として意識されるようになるためには、政治のあり方についてのある種の説明、つまり「社会的な仮想(imaginary)」が必要である。さまざまな「社会的な仮想」、すなわちシニフィアンが、人々の支持を得ようと相互にヘゲモニーを争い、ヘゲモニーを掌握したシニフィアンは、その社会の再節合をする上で主導権を取ることができる」

・ラクロウとムフ『ヘゲモニーと社会主義戦略』

・デリダ『マルクスの亡霊たち』に対するラクロウのコメント
101-2・「マルクスは、『資本論』の商品の物神性についての部分で、商品は人間の社会関係の投影であり、すなわち一種の幻影であるにもかかわらず、それがあたかも「物」であるかのようにふるまうことを、亡霊の「取り憑き」になぞらえた。存在であり、同時に非存在でもあるという亡霊のあり方に注目するこうしたマルクスの「亡霊学(hauntologie)」とも言うべきものは、概念はすべて亡霊であるという形で、存在論(ontologie)に対する根本的な脱構築に向かいうる可能性を含んでいたとデリダは述べる。ところがマルクスは、資本主義社会では亡霊が徘徊しているが、来たるべき社会では亡霊は消滅するとして、折角の亡霊学の可能性を封じ、存在論に戻ってしまったと言うのである」

○チェック
ラクロウとムフ『ヘゲモニーと社会主義戦略』
ムフ『政治的なるものの再興』
丸山眞男「個人析出のさまざまなパターン」
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