文系大学院と単著 

☆小谷野敦と荻上チキの論争で、単著について小谷野氏があれこれいっていることが気になった
小谷野氏は荻上チキをほめる文脈で次のようなことをしゃべっている

乙○君に告ぐ - 猫を償うに猫をもってせよ

◎小谷野氏「一体に、修士論文を二十六歳くらいで刊行するということ自体が稀」
「こうしたことは東大比較文学で佐伯順子さんが初めて」

○佐伯順子

はてなキーワードから一部転載

・1961年東京生れ。学習院大学で西洋史を専攻、卒業後、東京大学比較文学比較文化専攻課程に入学。1987年、修士論文を改訂した『遊女の文化史』を中公新書から刊行、マスコミの注目を集める。
・『「色」と「愛」の比較文化史』

◎小谷野氏「年齢的に二十六前後といえば、あとは加藤百合、私、松居竜五、また社会学の貴戸理恵、また博士論文で表象文化論の東浩紀がいる」


○加藤百合
はてなキーワードから一部転載

・日露比較文学研究者。1964年生。筑波大学卒、東京大学大学院比較文学比較文化専攻博士課程中退、つくば国際大学専任講師、ロシア国立サンクト・ペテルブルグ大学助教授の後、筑波大学准教授。小谷野敦の親友。
・著書に修士論文を刊行した西村伊作伝「大正の夢の設計家」(朝日選書)

○小谷野敦
ウィキペディアから一部転載

・1962年生
・1987年 東京大学文学部英文学科卒業、同大学大学院総合文化研究科比較文学比較文化専攻修士課程進学
・1990-92年 ブリティッシュコロンビア大学留学
・1994年 東京大学大学院総合文化研究科比較文学比較文化専攻博士課程単位取得満期退学
・1997年 東京大学博士(学術)
・『八犬伝綺想――英米文学と『南総里見八犬伝』』(福武書店、1990年)

○松居竜五
はてなキーワードから一部転載

・1964年京都府生まれ。東京大学国文科卒、同大学院比較文学比較文化博士課程中
・『南方熊楠一切知の夢』

○貴戸理恵
はてなキーワードから一部転載

・1978年、福岡県生まれ。2001年、慶応義塾大学総合政策学部卒。2004年、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。現在、同大学院博士課程在籍。
・小熊英二、上野千鶴子に師事
・『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』

○東浩紀
ウィキペディアから一部転載

・東 浩紀(あずま ひろき、1971年5月9日 - )は、日本の哲学者、文芸評論家。専攻は現代思想、表象文化論、情報社会論。社会学的な仕事も多く、サブカルチャーへの言及、評論でも知られる。
・1993年『ソルジェニーツィン試論』(柄谷行人、浅田彰編集の『批評空間』掲載)で評論家としてデビュー。なお、この元原稿は、柄谷行人が当時教えていた法政大学での講義に潜り込んで参加した東が、直接柄谷に手渡したものである。

◎小谷野氏「そもそも修論が本になるほどの実力を持った人が学者を目指さないというのが、人文学の現状をよく示している」
「学者の道を行っていたら」「本を出しただけで嫉妬されるし、いくら大学の専任職が優遇されているからといって、活発に言論活動をしていれば、「いづらく」なる」
「石田英敬教授にお尋ねしたところ、乙〇君は知っているが『ウェブ炎上』という本は知らないとのことで、乙〇君は指導教授に献呈しなかったらしい」


☆二十六前後で修士論文をもとにして単著を出すということは、破格に優秀なのだなと思わせられる
上で挙げられているのは全員東大絡みの人たちだが、東大以外ではそういう例がまったくなかったのか?
第一に、東大に行けるくらい頭が良くないと、ちゃんとした論文が書けない、ということは当然あるだろう
第二に、指導教授のテーマ設定、文体設定の問題もありそうである
教授が期待している文体・題材のせいで、今の時代では本が出せない、ということもあるかもしれない
本の出し方を知っている教授か、また、それを意識して学生を指導する教授かそうでないかで、話も違ってくる

いずれにせよ、文系の院進を考える学生は、修論・博論が単著に結びつくような指導を行っている大学院を、まず視野に入れておくべきなのだろう
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関連リンク
77歳女性の修士論文 本に
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20060705ok01.htm
修論などの論文を世に出すには?
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa2787473.html
>もし印刷物になることをご希望なら、エンターテイメント性を
>考えて書いてください。私の知る限り、学生の書いた論文で出版
>されたのは、山本コータローが一橋の卒論で書いた吉田拓郎論を
>ベースにした「 誰も知らなかった吉田拓郎 」だけですね。

>佐野真著「和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか」(講談社現代新書 )
>という本がありますが、これにプロ野球ホークス球団在籍の和田毅の早稲田大>学卒業論文が全文掲載されています。ただし、卒論を出版するのが目的ではな>く、和田の投球を分析しただけではページ数が不足するので、ページ数稼ぎの>ために掲載したのかも知れません。


検索して分かったこと
>二十六前後で修士論文をもとにして単著を出すということは、破格に優秀なのだなと思わせられる

通常、論文を刊行するかどうか、修士論文を対象に検討されることはない。検討の対象となるのは博士論文になる。
学術論文の刊行形態の主流は紀要からオンデマンド出版へ移っている。
著者がスポーツ選手やタレントであれば、本になる可能性はある。
[ 2008/01/09 11:50 ] 木棚環樹 [ 編集 ]
出版費用について
「その値段のご相談とともに、恐縮ではありますが、著者にご負担をお願いする場合があります。あくまで自主出版ではなく、(自主出版の場合には、印刷代、組代、製本代、紙代、倉庫代、管理費、編集費を書き手にご負担いただきますが、我々は印刷代と製本代のある部分をお願いすることがありますが、総経費の全額ではありません。)協力して研究書を出していくと言うことです。」

助成金について
「現在、私立大学に所属されている場合には、大学が出版助成を行っている場合があります。事務に問い合わせてみてください。なお、国立大学の場合、東大以外の国立大学には、学内者むけの出版助成があると聞いたことがありませんので、外部の助成金か、学術振興会のものを申請することになります。ただし、私学よりも国公立大学に所属されている場合の方が、学術振興会の助成金を取りやすいような傾向がかつてはありました。ただ、常勤職を持たない研究者の方でも出版助成金を受理できるようになってきましたので、現状は変わっているかもしれません。」

一冊辺りの出版費用について
http://www.hituzi.co.jp/academic/
「1冊の本を出すと言うことを考えれば、500万円程度のものです。」
[ 2008/01/09 16:28 ] 木棚環樹 [ 編集 ]
博士論文は、本来刊行する義務があるものです。ただ現実には難しいので、あまり出ていないだけです。逆に修士論文を刊行したりすると、妬まれて就職の道が遠ざかったりします。なお乙川知紀君の修士論文は「ウェブ炎上」ではありません。
[ 2008/01/10 01:35 ] 小谷野敦 [ 編集 ]
>木棚環樹さん
貴重な情報をいつもありがとうございます

>小谷野敦さん
お教えいただきありがとうございます
東大・慶応ではずいぶんたくさん博士号を出していると聞きますが、あまり刊行されてはいないのでしょうかね
刊行する義務がある、ということは、何かしらの規則で決まっているのでしょうか
乙川さんの修論が、ウェブ炎上ではないとするのなら、なんだったのでしょう
などと、自分でも調べてみようかと思いました

また、小谷野さんは、どうして修論を発行する流れとなったのか、不思議に思います
小谷野さんほど、すぐれた著作をたくさんお出しになっている方は、引く手数多なんじゃないかと思えますけれども
[ 2008/01/12 03:15 ] 松平耕一 [ 編集 ]
ひつじのものです。

著者が、500万円負担するという意味ではありません。ひとこと、コメント申し上げます。

>一冊辺りの出版費用について
>http://www.hituzi.co.jp/academic/
>「1冊の本を出すと言うことを考えれ
>ば、500万円程度のものです。」
[ 2008/01/14 09:27 ] ひつじ [ 編集 ]
>ひつじさん

「総定価が500万円です」とはどういう意味なのでしょうかね
「自費出版の場合であれば、制作費プラス編集費を全学、著者が負担することになります。総定価500万円の本の場合、書店経由で100パーセント販売できたとして500万円×.67ですので、335万円です。たぶん、46版で240ページくらいなら、200万円くらいで受注することになるのではないでしょうか。」
というのは、著者が200万円払う、ということなのでしょうか

×全学→○全額でしょうね
素人には文意が分かりにくいですね

「大学の紀要のオンライン化の提案」というのをなさっていて、これは素晴らしいですね
大学が、当然取り組むべきことがらですし、それを視野に入れていない大学はおかしいと思います
http://www.hituzi.co.jp/hituzi/kikaku-kiyou.html
[ 2008/01/16 01:37 ] 松平耕一 [ 編集 ]
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