矢部史郎、山の手緑『愛と暴力の現代思想』 

愛と暴力の現代思想愛と暴力の現代思想
(2006/04)
矢部 史郎、山の手 緑 他

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二〇〇一年というと、世間的には「9・11」のアルカイダテロの年かもしれない
しかし、ぼくにとっては「9・21」テロの印象が強い
別名、「法政大学ボアソナードテロ」である
二〇〇一年九月二十一日
法政のノンセクトの活動家が、当時の法政総長、早稲田総長、その他業界の社長等の集まる記念式典に乗り込み、ペイントボールを投げつけたというものだ

ぼくも、知人のノンセクトの活動家の子に、松平君はこういう式典、どう思う? みたいな感じで、事前にその抗議行動への参加を軽く誘われていた
9月21日の「出撃」時、学生会館でシャワーを浴びていた
シャワー室の隣の部屋で、シュプレヒコールのあがるのを聞いた

この事件は、法政の学生運動にとって、一つの大きな後退をもたらしたものであっただろう
学内から主要なノンセクトの活動家が一挙に消えていった
中核派ばかりが残された

矢部史郎・山の手緑『愛と暴力の現代思想』におさめられた文章、「声明なき攻撃」(初出は『現代思想』2002年4月号)で、矢部は次のようにこの件について語る

「で、二〇〇一年九月二一日、私立大学連盟の五〇周年記念祝賀会は、黒いヘルメットをかぶった数十名の学生たちによって実力で破壊された。祝賀会の会場には、数百のペンキ玉が投げ込まれ、消化器が噴霧され、出席者は声をあげて踊った。文部科学省の役人と有名私大の総長、オリックス、日本IBM、その他大学に寄生するドナルドダックたちは、もれなくペンキを浴びせられ、最大の標的であった奥島孝康は演壇で立ち往生しながら体中にラクガキされた。
 これは、よい。
 問題はここからだ。
 こうした戦闘的な行動を組織しながら、しかし、学生たちは声明を出さなかった。言葉を駆使して大学を批判し、自らの正当性を訴えることを、彼らはしなかった。注目してほしい。彼らは的確に狙いを定めて、私大連と奥島孝康に打撃を与えた。にもかかわらず、一切の声明がないのだ。なぜか。なぜなら、彼らもまた言葉を失った大学の中で、所在なくうろつくしかない者たちだからである。」

テロ実行時のかなり細かな情報を矢部氏が手に入れていたことは不審だ
「最大の標的であった奥島孝康は演壇で立ち往生しながら体中にラクガキされた」とある矢部氏にとっては、早稲田の奥島総長(当時)が「最大の標的」であった、と認識されていることが興味深い
早稲田の活動家と法政の活動家がどうしてつながっていたのか
矢部氏は何を知っていたのか
なんでこの事件が起こったのか
いまだにぼくにはよく分からない

この事件ののち、数年の間、このボアソテロについてどう考えるか、学生組織の内部で毎週会議が行われた
ぼくは、この事件を繰り返しその場で批判した
また、裁判闘争の救援も行わなかった
そのことは、少々負い目に感じてもいる
この事件がなければ、ぼくは法政の大学院に進まなかったかもしれない

9・21テロ実行者には、「資本の運動の粉砕」ということが一つのテーマとしてあったようだ
無理だろう
それは、結局は、一時的な「祭り」にすぎないものだったのか
学生運動は、こういうテロに落ち込まざるをえないものなのか
もしもそうだとしたら、学生運動には肯定しうる要素があるものなのか

あるいは、まともな指導者がいなかったからなのか
それとも、日本特有、東京特有の現象なのか

・学生運動とは「セカイ系」みたいだな
中核派の活動家は、法政の学生会館を拠点に、世界を革命しようといつも主張していた

・監視社会、管理社会を必ずしも否定できない

そんな感想を持ったのである

しかし、ぼくは心性において、アウトローであることへの憧れがある
ぼくにとって「テロ」というものと、「文学」のあり方は、いくらか近接している
「現実」と言葉において切り結ぶ作業が「文学」であると思うからだ
漫画・アニメ・ライトノベルなどといったものへ耽溺することは、自慰的なものに感じられ、やましい気分になったりもするのである

○チェック
マリアローザ・ダラ・コスタ『家事労働に賃金を』
パオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』
酒井隆史『暴力の哲学』
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