「ひぐらしのなく頃に」は中上健次の嫡子である! 

ひぐらしのなく頃に 第二話~綿流し編~ (下) (講談社BOX)ひぐらしのなく頃に 第二話~綿流し編~ (下) (講談社BOX)
(2007/11/02)
竜騎士07

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◎『ひぐらしのなく頃に 第二話~綿流し編~(下)』(2007)について

・「ひぐらしのなく頃に」(講談社BOX文庫)は人気同人ゲームのノベライズ。美少女ゲーム系で、中途半端に小説化された胡散臭い作品は多いが、これはちょっと違うようだ。編集者の本気感の伝わる造本である

・ジャンルはホラーミステリー。しかし、多量の「萌え」がまぶされている

○作中に登場する「綿流し」という異様なお祭りと、「ダム建設反対運動」。この2点は、少々検討してみたい要素が含まれる

・「ひぐらしのなく頃に」には、「綿流し」という村落共同体における伝統的なお祭りが象徴的に登場する。このお祭りは、かつて、田舎の共同体で秘密裏になされる、食人の儀式だったのだそうだ。ある口伝によると、「犠牲者を狩り、それを食す宴」「女子供は蒼白になりながら震え、血に弱い者は嘔吐しながらも、それでもなお、宴(解体作業)を見ることを強要された」「見せしめの処刑」であるらしい(p.58)。この儀式は、明治末期ないしは、江戸以前に行われたとのこと

・『ひぐらしのなく頃に 第二話~綿流し編~(下)』のメインとなる作中時間は1983年(昭和58年)。都会からやってきた主人公は知らないことであるが、70年代末、ダム建設計画により作品の舞台、「雛見沢村」は廃村の危機をむかえた。これに対し、雛見沢村の住人達は、苛烈なダム建設反対の抵抗運動を行なったという。この運動の渦中において、また、そののちに出た死者が、様々な謎を巻き起こしていく

○これ、「特殊部落問題」と関係があるの?

・主要登場人物の園崎魅音の祖父、園崎宗平は、戦時中、死体運搬の仕事をさせられていたとのこと。「……出身を理由にした不当な扱いだった。」と語りが入る

・作中では、戦時の日本軍が、中国人、および日本人の人肉を缶詰にして、食料源としていたとのこと。これを、園崎宗平が戦後、日本で売りさばいたとの風聞が語られる(p.300)。そして、人々は、「人肉を売って材を成した鬼畜と呼び、…(引用者注 雛見沢村の)村人をまたしても蔑み始めたのです」「……差別したりされたり、したりされたり。どうして優劣や等級をつけたげるのか。どうして人間は人間を見下ろさないと生きていけないのか。」

・「時代は昭和三十年代の半ば、日米安保条約を巡る騒動が世間をにぎわす、戦いと運動の時代だった。雛見沢の人々は連帯し、一人が受けた不当な差別を全員が受けたものとして戦った。」これらの記述は、部落解放運動を思わせるものがある

・つまり、新左翼のマイノリティ運動と、運動体内部でのリンチ事件が作中の大きなテーマとなっていそうなのである。「ひぐらしのなく頃に」は、ドストエフスキーや島崎藤村『破戒』、埴谷雄高や大西巨人、中上健次に連なるテーマを受け継いだ、現代的な作品だと言えそうである

○論点
・「鬼」「神社」「祟り」についての民俗学的分析。村落共同体における「崇高なもの」と「不気味なもの」のジジェク的な分析
・互酬的共同体における「話すこと」と「話さないこと」。殺人について
・「隠喩としての病」「俗情との結託」等の問題点がありそうである

○チェック
横溝正史『八つ墓村』
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『熊野集』的なスキャンダラスな共同体を取り扱っているお話なんですかね?

 それはもう同和利権そのものみたいな。

 むしろ連合赤軍の流れをふまえつつも、オウム事件の予見的な未完小説『熱風』みたいな感じなのかなあ。

 なんか気になったのでこの本、おすすめファイルに書き加えておきますです。
[ 2008/03/22 04:28 ] 白石昇 [ 編集 ]
『熊野集』的ではないのですよねー
もしもお読みになったら、感想をお伺いしたいですねー
[ 2008/03/27 00:02 ] 松平 [ 編集 ]
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