批評における「エロス」と「名誉」――宇野常寛×東浩紀論争 

批評における「エロス」と「名誉」――宇野常寛×東浩紀論争

宇野常寛が「“ナンパ師”でも“ギャルゲーマー”でもない、第三の道を!――『小さな成熟』をめぐって」という文章をメルマガに書いた

これを、東浩紀がブログで批難している
ちょっとひとこと。

宇野は、宮台みたいなナンパ師の道と、東みたいなギャルゲーマーの道以外の、第三の批評の道を探りたいといった記事を書いている

これ自体はとても素朴なエッセイなのですが

でも、日本における「批評」をやることの難しさ、「思想」をやることの難しさというものは考えさせらる

「批評」とは何なのかを考えるにあたって、まず、人間には、何を必要とする生き物なのかを考えてみたい

人間にとって、不足しているものは何か
人間は何を欲するのか

そう考えたとき、

1衣食住
2エロス
3富
4名誉

なんかがあげられるわけだよね
んで、「文化」や「芸術」の中枢には、一つ、大きな役割をもって、「エロス」が鎮座していることだろう

とある有名雑誌編集長が、売れる雑誌に必要なのは「エロス」と「占い」だ、と言っていた
確かに、もっとも多くの部数が出版されている雑誌なんかは、「エロス」や「占い」の組み込まれた大衆雑誌だ
商品として、多くの人に売ろうと考えた場合、表現系の文化というものは、多く「エロス」に集中しちゃうわけで

それで、電車内のつり広告なんかの雑誌は、そういう筋のものが目立ったりする
文芸誌なんか、それらとは比較しえないくらい、販売部数が低い
雑誌を売るというのも、大変なことだ

んで、「批評」というのは、そもそもなんのためにあったのか?
「批評」というのは、「4名誉」に属するジャンルなのであろうとぼくは思う

そして、これは、1衣食住 2エロス 3富 に較べると、マニアックな趣味である
衣食住やエロス、富というのは、誰にとっても明瞭な欲望の対象であろう
でもそれらからは、ちょっとずれたところに「名誉」における価値観はある

「名誉」は、国家や村落共同体、各種コミュニティや、国際的なものに宿るだろう

東大の先生になるとか、政治家になるとかはそのトップだ

そこで、次に「批評」というものの歴史的考察に移る

「大きな物語」が生きていて、左翼運動なんかも活発だった時期は、もっと多様な形で、「名誉」というものがあったのじゃないかとぼくは想像する

悪ければ悪いほどいい
ダメであればダメなほどいい
そういう、闇世界に属する名誉もあったのじゃないか
左翼運動内部には、社会に対して、反転した形で名誉が存在していた
ドゥルーズの「戦争機械」とかネグリの「マルチチュード」なんかも、これと関わってはいないか

しかし、現代においては、「大きな物語」がなくなり、歴史が途絶えてしまう
「大きな物語」の解体とともに、その「悪」という名の名誉は、解体され、規格化され、制度のなかへと囲い込まれていってしまった

たとえば、批評の系譜である、小林秀雄、吉本隆明、江藤淳、柄谷行人といった人たちを考えてみる
それらの人と比較すると、東浩紀と宮台真司というのは、圧倒的に、「大きな物語」から切断されていちゃっていたわけですよね
宮台は、「大きな物語」を復活させる方向へと転回していったわけだけれども

そして、そのような状況下で、大衆に読まれ、供される「思想」というものを著作にまとめようとするとき、否応なく、東浩紀と宮台真司がそうしたように、「エロス」が焦点化されざるをえないのだろう

ちょっと勘ぐってみれば、小谷野敦の本なんかが多く単行本化されているのも、「エロス」が主題となっていることが大きいだろう
じゃないと、出版不況の今日び、売れないジャンルトップテンにランクインされるであろう日本文学の研究書を、小谷野さんほどしばしば、単行本化することなんてできないだろうし

「エロス」というものを表から扱った宮台と、裏から接近した東
彼らのようなやり方でなければ、あるていど大きなムーブメントとなりうるほど成功した「批評」は書けないのじゃないのか
私はそう、恐れるのである
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