畑正憲『動物王国ノクターン』 

動物王国ノクターン 動物王国ノクターン
畑 正憲 (1988/09)
角川書店
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『動物王国ノクターン』。
ムツゴロウこと畑正憲による1988年刊行の書。
動物王国や、旅行先でのあれこれの事件を扱ったエッセイだ。




ぼくが本書を手にしたのは、中学生のころだった。
『動物王国ノクターン』には様々なドラマが盛り込まれている。
ムツゴロウ氏が初めてパグに出会い、それに魅せられ、映画『子猫物語』に、パグを登場させようと決めること。
ハスキー犬テツによるアラスカでの犬ぞりレースの実況中継。
娘さんに恋人ができ、父という立場から結婚にいたる過程を厳しく熱く見守ること。

「ムツゴロウと愉快な仲間たち」というテレビ番組で、同時に放映されていたエピソードが多く含まれる。
本書を読むことは、「ムツゴロウと愉快な仲間たち」によるドキュメントを追体験することでもある。
しかし、お茶の間には流れないような類のことも、書籍では読むことができる。

たとえば、ムツゴロウ氏がこよなく可愛がっていたオラウータンの「ウータン」は、火事により事故死した。
「ウータン」の焼死体の描写は、ショッキングである。

 焼跡は黒く、汚なかった。人が近寄るものの中で、最もひどい、屈辱に充ちたものだと言えた。その中に、黒こげの死体があった。
 死体は軽く、抱きしめると、破裂しなかった腹の中で、腸が小さな音をたてて動いた。めまいがした。


破裂しなかった腹の中で、腸が小さな音をたてて動いた
こんな文章、私には一生書けないだろうなと、尊敬せざるをえない。
そしてもう一つ、狼犬アナバスに、ムツゴロウ氏が恋をされる場面がある。
アナバスはムツゴロウ氏を四つんばいにさせ、またがる。
ムツゴロウ氏はそれを、嬉しがる。
アナバスはムツゴロウ氏にぴたりと寄り添い、ある真夜中、乱暴にムツゴロウ氏を起こす。
そしてまたがり、抱く。

 息づかいが荒くなっていた。開けた口には白い歯が並んでいた。
 ふと横を見ると、アナバスが静止していた。目は宙をにらんでいた。腰が持ち上がり、体がへの字になっていた。
 四肢に緊張があった。
 「どうした、アナバス」
 呼びかけたが反応がなかった。
 と……。
 ペニスが脈打った。
 白い液が、ピッピと飛び散った。
 アナバスはついにメスの中に入ることなく射精してしまったのだった。


ムツゴロウ氏は、ペニスの先から出てきた透明の液を舐める。
味を確かめ、その成分を考察する。

 アナバスのペニスは、十分経った後も、大きくなったままであり、彼は不安げであった。そして、私が近寄ると、器用に身を避けた。交尾後はそっとしておいてくれという男の態度であった。


「男は狼だ」と、しばしば言われるものである。
「男は狼だ」ということは、まあ、当たり前なことかもしれない。
ムツゴロウ氏の提起において重要なのは、「男が狼である」という事実ではもちろんない。
そうではなくて、「狼は男かもしれない」ということである。
狼犬アナバスは、狼なのか犬なのか、それとも「男」なのか。
あるいは、その境界にいる存在なのであろう。

ところで私は、先ほど、アダルト動画を見ていた。
その動画では、人間の女性が、オスの犬とセックスをしていた。
犬は超大型犬であるナポリタン・マスティフ。
女性はメイドのカチューシャをつけ、犬のペニスをフェラチオするところからスタートする。
犬のペニスは直方体をしている。
存外大きい。
人のものと比べても、体積的には遜色がない。
長さに比して、太さがある。

騎乗位でセックスをするのかと思ったら、正常位でセックスをしていた。
人間は、意志の力で、石を金に変えることもできる。
しかし、犬も誘いかければ乗ってくるものなのだな。
満足げな顔をしている。
誘惑すれば、犬の心を落とせるものなのかと、びっくりした。

しかる犬にとって、しかる女性は他者なのか。
女性にとって、犬は他者なのか。
ぼくにとってはどうなのか。

などと考えていたら、松平家の犬が、私の足元に近づいてきて、座った。
ビーグル犬である。

「夕鶴」などがそうだが、古来、人と動物との恋をテーマとした民話は数多い。
しかし、自然の減少とともに、それらの物語のリアリティも減った。
狐であるとか蛇であるとかは、人と交わる伝説の残る、隣人たちである。
それらの動物たちは、少なくなり、人と接触する機会も、もはやほとんどない。
人間は自然を破壊する。
環境破壊はよくない。
地球を大切にすべきだ。
もちろん、人はペットを飼い、それを愛さざるをえない。
そして人間は、他にも何か、取り組むべき理念というものを、持ちうるものだろうか。

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