「Web文芸」と著作権契約 

著作権と編集者・出版者 著作権と編集者・出版者
豊田 きいち (2004/12)
日本エディタースクール出版部
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「Web文芸」で、どんなふうに著作者と契約をすべきなのか、考えたい。

なので、豊田きいち『著作権と編集者・出版者』に目をとおす。



 
 
この書によれば、発行物の著作権とは以下のように処理されているらしい。

雑誌(定期刊行物)への投稿作品の掲載は、「非独占的・掲載許諾契約」という。
これは、「契約書なしでの契約」のようなものである。
「非独占」であるため、著作権者は、同じ原稿を別の雑誌に載せても法的に問題はない。

ただ、その雑誌が、次の号を出すときまでは、一応、独占しているものとするのが倫理的な慣行である。

これを「Web文芸誌制作フォーラム」でのことにあてはめて考えると、どういうことになるか。

第一に、雑誌への投稿作品の掲載は「非独占」であるため、ブログ・サイトに著作者の載せたものとの、重複掲載をOKにしてもよいだろう。

第二に、紀要、学会誌、同人誌、商業誌からの転載もOKとしてよいだろう。

紀要、学会誌に載っているものを、Webにアップしちゃまずいよね、などと言っている方を見かけたことがある。
しかし、それらはもともと、「非独占的・掲載許諾契約」であり、契約書が書かれておらず、原稿料すら払われていないのだ!
百部やら千部やら数千部やら、あるかないかの紀要・同人誌にのみ原稿を埋もれさせておくなんて、人類の知的財産に対する侮辱だぞ!

紀要、学会誌・その他商業誌に作品を載せている皆さま!
ぜひ「Web文芸誌制作フォーラム」に投稿をよろしくお願いします!
このサイトで、もしも多くの人の目に触れることがあれば、何かしら、チャンスが広がるかもしれません!

専門分野における研究で先行文献を探すとき、マニアックな学会誌に載っているものを手に入れるのは、ひどく面倒くさかったりする。
そういうのっておかしいよねというのが、「Web文芸」の企画について考えた最初のアイディアだ。

Web文芸誌制作フォーラム」掲載の時点では、作品は、いつでも変更・取り下げ可能である。
そのため、作品の形は、不安定な状態にある。

Web文芸誌制作フォーラム」での優良作品は、「Web文芸誌」に、編集して再掲載することになる。
この時点で、校正・校閲を徹底する。
また、作品の取り下げ・変更を不可能ということにしてもらう。

「Web文芸誌」への作品掲載は、「Web文芸誌制作フォーラム」のものと同様、「非独占的・掲載許諾契約」であることはかわらない。

雑誌に掲載したものを書籍にするとき、文書による契約を行なう。
これには「①独占的・複製許諾契約」「②出版権設定契約」「③著作権譲渡契約」がある。
①より②の方が、②より③の方が、出版者により強く、著作権が譲られる。

「①独占的・複製許諾契約」では、契約期間中は、出版者が契約した出版態様について独占できる。
出版態様とは、「全出版態様」と、「特定出版態様」がある。
「特定出版態様」にはハードカバー、ソフトカバー、新書版、文庫版などがある。
契約期間は、五年から十年くらいが普通。
ただし、ロングセラーで行けそう、という場合は、十年以上にすることもある。

「②出版権設定契約」では、より出版者の権利が強固になる。
ある出版社が単行本として出したものを、別の出版社から文庫で出す、ということも、本来、不可能にするものである。
これは時限的なものであり、契約期間がある。

さらに、「③著作権譲渡契約」では、出版者が著作権を買ってしまう。
「契約期間」がなく、著作権の「全部譲渡」が行なわれ、著作権は出版者のものとなる、強力なタイプのものもある。
時限性の、契約期間の経過とともに、返却するタイプのもの、国家単位での、特定地域に絞るもの等もある。

この三つのうち、「Web文芸誌制作フォーラム」ではどれを採用するのか。

それとも、完全に、非独占という方向で行く手もある。

基本は、オンデマンド方式での書籍化がいいと、私は考えていた。
「ロングテール」を狙ったものになり、長期間、ダラダラと売れる、という書籍を出したいと考えていた。
百年とか二百年とかね。
無理か。

翻訳権についてはどうするか。
「Web文芸誌」の時点で、全文英語訳を付すつもりだし。

メディアミックスできそうな青春小説・ライトノベルの契約の場合、支分権をどうするか。
などといったことも考えておいたほうが良いのか。

独占権を完全に放棄するという手も視野に入れつつ、あれこれ考えておこう。

案外、独占権が強いのが、「2ちゃんねる」である。
書き込みをするさい、以下の規約があるからだ。

「投稿確認・投稿者は、投稿に関して発生する責任が全て投稿者に帰すことを承諾します。・投稿者は、話題と無関係な広告の投稿に関して、相応の費用を支払うことを承諾します・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)、掲示板運営者に対し、無償で譲渡することを承諾します。ただし、掲示板運営者は、投稿者に対して日本国内外において無償で非独占的に複製、公衆送信、頒布及び翻訳する権利を投稿者に許諾します。また、投稿者は掲示板運営者が指定する第三者に対して、一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます)を許諾しないことを承諾します。・投稿者は、掲示板運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。」(2006年5月28日時点)

「2ちゃんねる」では、書き込みの投稿者は、知的財産権と、著作者人格権とを放棄させられているのである!
人格権がないのだぞ!
この契約によると、「2ちゃんねる」に書き込まれた文章を使って、ひろゆきは自由に商売できる。

これは、管理人にとって、強固に有利な契約だ!

この規約になる以前、『電車男』で、すこしもめたらしい。
『電車男』では、『電車男』のまとめサイトを作った人と、ひろゆきで利益を折半している。
新潮社に任せてメディアミックスを行い、2千万円儲けたとかいう話だ。
『電車男』後に、『電車男』のスレッドへと参加した人たちにごねるものが現れるのも当然といえよう。
同様のことがないよう、管理人の権利を強力にするため、規約の試行錯誤が行なわれているらしい。

著作権の点で、管理人による独占性が、それなりに高いサイト。
それが「2ちゃんねる」なのだ。

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