R.E.S.(4) 

飲み会で全裸になった。
店員が何かを言いたげにこちらを見ている。
ふっふっふ。
呆れてるな。
快感である。

しかし、即時的な快感は往々にして、時の流れとともに悔恨へと変わるものだ。
ふと気付いたら、ぼくは山の中にいた。





泥酔のため眠り込み、駅を降り過ごしたのだ。
下りの終電であった。
上りの終電はとっくに終わっている。
舌打ちをしてため息をつく。
自宅のあると思われる方角へ向けて、とぼとぼと歩き始めた。
20070506095.jpg

そろそろ筋肉痛になるというくらいに歩いた後である。
巨大な橋に出くわした。
多摩川の上にかかる橋だ。
道は、おそらく正しい。
ぼくの家は多摩川沿いにある。
しかし、こんな橋、あったっけ?
見たことがないぞ。
端から端まで、何百メートルもある。
橋を支える塔の高さは、ビル並みに高い。
幅も広い。
4車線の道路を悠々と載せる。
天辺のかすむ2本の大きな主塔から、放射線状にケーブルが延びる。
ピンと張った7本の黒い鋼のロープが、重厚な橋を幾何学的な華麗さで支えている。
20070506101.jpg

歩道の横には温色のライトが等間隔に設置され、行く手を照らす。
無人である。
美しかった。
この橋は、素晴らしい。
実質と重みのある価格を感じさせる。
ぼくは橋を舐めたい、と思った。
橋の地面を舐めたい。
橋の全てを舐めたい。
ベロベロと舐めたい。
橋を綺麗にして回りたい。
ぼくの体液で橋を清めたい。
この橋には価値がある。
莫大な価値がある。
多くの人の手により愛され育てられた橋。
20070506100.jpg

欄干に腰をかけ、足をぶらぶらさせた。
地面は暗かった。
地面は遠かった。
わずかに川の水面が光っている。
川原の石がおぼろげに見える。
橋はぼくに語りかけてきた。
「名無しさん」たるコウイチよ。
お前も分かっている通り、お前はナンバーワンなどではさらさらない。
オンリーワンですらない。
お前は、ロンリーマンだ。
ぼくが、ロンリーマンだと?
怖くなった。

ぼくは橋の欄干から降り、走り始めた。
一刻も早く、橋から離れたかった。
駈けて駈けて駈けぬいたのち、ぼくは迷子になっていた。
田舎道である。
人っ子一人いない。
畑が広がっている。
田んぼが広がっている。
稲の青葉に囲まれて、馬鹿みたいにでかいラブホテルが点在している。
ぼくは墓場を通り抜けた。
中央高速道路を発見し、その側道を東へ東へと歩き続けた。
ニワトリが鳴いた。
家についたときには、空が白んでいた。
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