Web上でのレジメの検討は可能か 

「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック 「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック
中村 俊介 (2006/01/14)
翔泳社
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以前、某大学で、「日本文学研究会」というサークルを運営していた。
読書会の実施と、同人誌の発行がサークル活動の核をなす。
サークル運営は面白かった。
皆で、創作や批評の文章を書き、感想を述べあうこと。
ある図書に対して、皆で検討を行なうこと。
やりがいがあるし、勉強になる。

Web空間を使って、同じことを、より大きな規模でやれればいいなというのが、「Web文芸誌制作フォーラム」と「「必読書150」研究」の基本コンセプトである。

それで疑問点がある。

第一に、Web上で、課題図書に対するレジメを発表したい。
レジメに対する意見交換を行ないたい。
それは、著作権法上可能なのか。
第二に、Web上に、ある書籍の内容についてのメモ・ノートの類を、アップすることは可能なのか。
 


 
ウィキサイトは、この二つの作業を行なうのに、たいへん優れたシステムである。
課題図書のメモの整理をするのに、とてもよい。
しかし、研究者で、ウィキを利用している人々は、今のところ極めて少ない。
人文社会科学系の研究にウィキを使うことは、今後活発化しうる。
そこで気になるのが、著作権の問題である。

著作物は、著作権法第三〇条により、私的使用のための複製が許されている。
私的使用の範囲とは、次のようなものであるとのこと。

・自分、家族や身内
・親しい友人数人程度
・クラスの仲間10人程度まで

がこれに入ると言われています。一方で、範囲に入らないものとしては、

・クラスやクラブ全員(10人程度以下の小さなクラブは私的利用の範囲に入る)
・オークションで「落札」した人

 などが挙げられます。要するに、家庭に準ずる個人的かつ密接なつながりがないと、認められないということです。



中村俊介『「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック』より。
個人のメモを、自分にしか読めない非公開の形式でウィキに載せるのは、いけるかもしれない。
しかし、それを、公開の形式にすると、適法引用と同一性保持権の侵害の恐れが出る。

また、「非営利教育機関」では著作権者の許可なく複製ができる。
しかし、「非営利教育機関」とは、学校教育法で定められた、小中学校、高校、大学、高等専門学校等のことである。
なので、サイト運営での、教育のための利用の範囲での、著作物の複製許諾をえるということも、不可能だ。

今後、Webサイト上での研究活動は、大学・学会での研究以上に盛んになりうるのではないか。
Webサイトの利用者は、ある特定の大学・学会の参加者を包括しうる。
しかし、ある特定の大学・学会の参加者は、Webサイトの利用者を包括しえない。
ならば、Webサイトにおける研究活動の、大学・学会への優位というのは、長期的観点から見れば起こりうるはずだ。

課題となる著作の要点の抜書きや、重要な部分の引用は、学術研究において、初発の段階での基礎作業である。
そのようにして作られた一次資料に対し、レジメ作成者や周囲のものが、意見を付け加えていくことで、論文が作り出されていく。

著作権法は、Webがない段階で作られた法律だ。

研究目的の引用ということで、なんとか、Web上での課題図書からの引用や、先行論文の抄録の掲載等は、許諾されえないものかと思うが。

参考文献
中村俊介『「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック』(2006/01/14、翔泳社)
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