東浩紀『存在論的、郵便的 ジャック・デリダについて』(4) 

p.240とp.322にある、三つの図がとても重要。
これらの図を頭に入れてから文章を読むべきなのだろう。
そして、この三つは、浅田彰『構造と力』の「プレモダン」「モダン」「ポストモダン」の図にも対応している。



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①形而上学システム(プレモダン)
円錐の形。
円錐の頂点に自分がいる。
円錐の下部に客体がある。
フッサール、ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』など。
このモデルでは、「不可能なもの」が表われない。
というか、分析の対象として、「不可能なもの」を選んでいない。

②否定神学システム(モダン)
クラインの壷。
ハイデガー、ラカンなど(本当かな?)。
円錐の頂点に存在(神)がある。
円錐下部にある現存在(穴・自分)は、単一の「不可能なもの(存在・神)」を、自己から疎外し、クラインの管を通して、円錐の頂点に創出してしまう。
穴は、自己と外界との間をなす、境界面である。

③東―デリダモデル(ポストモダン)
外界からの情報は、まず、「カテゴリー」を通って弱められる。
次に、「シニフィアンの層」に到達する。
「シニフィアンの層」は、「声」により成立した、「語表象と物表象(フロイト)」よりなる面である。
この層への情報の書き込みは、短い期間に限られ、しばらくたつと、「シニフィアンの層」は元の「白い紙」に戻る。
一方、「エクリチュールの層」では、物自体に発した情報が、「シニフィアンの層」を透過したのち、「語表象」を切り取られ、「物表象」のみが受け止められた層であり、ここには記憶が長期に渡って亡霊的に記載される。
これが「無意識」を形成する。
この「不可能なもの」である「幽霊」は、各個人の体験に従い、複数形成される。

うん。
すっきりすっきり。
 
しかし、ちょっと待て。

1ラカンにおける「無意識は言語化されている」という有名な言葉。
これにあたるもの、「エクリチュールの層」が、東―デリダモデルでは、大分単純化されている。
大丈夫なのか?

2「不可能なもの」とはなにか。
それらは単数なのか、複数なのか。

・性欲における性の対象の像。
・神
・死後の世界
・存在
・ファルス
・貨幣
・一角獣

これらも、それぞれ、部分部分で本書でも解説してあるのだろうけれど、まだ私はきちんと理解ができていない。
「一角獣」と「現実界」は、もちろんまったく属性が違うだろうし。

それから。
東―デリダモデルでは、「エクリチュールの層」へと記載された痕跡が「不可能なもの」である「幽霊」となるわけだが。
それは、もとは何だったのかというと。
物自体→カテゴリー→シニフィアンの層→エクリチュールの層
という順序で情報が動いていっている。
ということは、「幽霊」を作っているもともとのものは「物自体」なわけなのか。
じゃあ、素朴に。
「物自体」の数が「幽霊」の数を既定している?
まさかそんな。
もしもそうだとしら、すごく奇妙だ。
どういうことだろう。

3「不可能なもの」の小説的表現ということを考えると。
「不可能なもの」はさまざまなやり方で表現できるのが、小説や虚構の世界。
一角獣とか。
死後の世界とか。
神とか。
ドストエフスキーは他声的と言われる。
それは、「不可能なもの」が複数的に表現されているから、といえるのだろうか。
小説の世界では、ペニスを複数持つ女性なども書かれうる。
「不可能なものの複数性」。
それは、現実に対する認識なのだろうか。
それとも、そうであったほうが道徳的によいという、統制的な理念なのだろうか。
認識と意志の切り分け。
そこらへんも気になるところ。

4「不可能なもの」の複数性。
柄谷行人の他者論は、いくらか一神教的な相貌がある。
もちろん、厳密には、ちょっと違うだろうけれども。
柄谷的な他者論に対するアンチテーゼとして、複数の幽霊のネットワークという概念は提出されていることだろう。

5社学系の学会は、この本を認めているのだろうか?
いろいろ疑問に思うところ。
まあ、もうちょっと丁寧に読まなくちゃ。
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