山口文憲『読ませる技術』 

読ませる技術 読ませる技術
山口 文憲 (2004/03/12)
筑摩書房
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エッセイ・コラムを書くときのポイントは、本書によると、次のよう。

・うまく書けそうもないことを書いてはいけない
・自分が書きたいことを書くな、ひとが読みたいことを書け
・誰かが書いていることは書かなくてよい
・身近なことを書く
・「ある、ある、へー」、まず常識的な話、共感を誘う話から初め、その次に、読者の知らない、感心させるような話をせよ

はい。
その通りですね。
難しいです。
 


 
「大きな物語」失効後。
「本当の私」という虚構は薄れる。
プロのエッセイスト・コラムニストは、読者に読ませることに焦点を絞って文章を組み立てるのかもしれない。
読者は、著者の日常の現実におけるディティールに、興味を持たないかもしれない。
どれだけ、一文字一文字無駄のない丁寧な文章を作れるか。
どれだけ、他では聞けない特殊な話題を提供できるか。
どれだけ、ウケる話を紡げるか。
そんなことも、読まれる文章を書くための、ポイントになることもあるのでしょう。
「海水浴」に行ったとして。
朝起きたとき。
目覚めたときの様子から始めてしまったりするのが、小学生の作文。
その日の朝ごはんは目玉焼きでしたと。
海につく前に、ヘトヘトになっちゃう。
初心者は、しばしば「自分」のすべてを誠実に羅列してしまう。
一方、プロは、海というものの与えてくれた感動を、一番にドカンと提示するかもしれない。
写真のように鮮烈に短く切り取るかもしれない。

まず、読ませる文章を書くことありき。
生活綴り方運動的な、日常ベッタリな作文論を廃する。
いいエッセイを書くため。
面白くするためには、嘘だって紛れ込んでもよい。
そういう本書の視点は、ポストモダン的。
落語チックである。

どんな文章が、いい文章、面白い文章なのだろう?
新刊書などを読むとき。
たとえば、大衆文学と、学術的な要素の高い本を並べてみたとき。
大衆的な文芸作品は、おしなべて文章が洗練されていてる。
語り方の技法が優れている。
でも、内容の点であまり興味が持てないこともある。

一方、学術書や、文芸批評系の作品の新刊。
ルソーとか、ハイデガーとか、デリダとか、そういう名前が出てくるだけで、ぼくは反応してしまう。
ルソー、萌ええ!
ハイデガー、萌ええ!
デリダ、萌ええ!
でも、逆に今度は、文体の面でがっかりすることがしばしば。
著名な学者の作品でも、ひどいものはひどい。
こんなオリジナリティのない文章を、どうして書き続けられるのだろうと感じる。
観念が先行しちゃうと、その著作者の独立性がなくなるのだろう。

でも、まあ、論文として成立させるために、あえて貧相な文体を選んでいる面もあり。
文学的な修辞に凝ると、学問的でなくなるのでしょう。
大衆文芸系の作家さんではない、インテリ畑の方にありうること。

観念と文体。
バランスをとるのが難しい。

もっとも、観念先行の罠にはまり勝ちなのは自分であると、常々反省します。
思想書で仕入れてきた概念を、自分の文章の中に組み込むことは、ひどく能力がいるものですね。
一流の文化人さんは、すごいと思います。
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[ 2007/07/15 09:11 ] 【おとなのコラム】 [ 編集 ]
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